一級建築士事務所 KYMプロデュース(東京都:建築設計事務所)の住宅設計          WEBサイト掲載コラム

【建築家】住宅リフォームから都市計画まで

上記WEBサイトに2007/1/15より掲載中。下記はその内容です。
(テーマ第12回 セキュリティーはこちら
(テーマ第10回 和室、畳の部屋の効能はこちら
(テーマ第8回 地震に備える 構造と内装の視点からはこちら


第13回 疲れを癒すお風呂
・・・コートハウスでの実践・・・
木口盛世  一級建築士事務所 KYMプロデュース
「窓を大きく開けたい。掃出しで外に出たい、実際にその行為はしなくても。」風呂場の空間としての外部空間の取込みは、より魅力的にする手法ですし、心身をリラックスさせる効果があるといえます。都市の住宅でそれ行うには、プライバシーを確保しつつ限られた敷地の中で住宅としての他のファクターを侵さずまとめるには設計上の工夫が必要です。

日本人は古くから「銭湯」という場所に慣れ親しんできました。(最近では一部「スーパー銭湯」としてアミューズメント化しておりますが。)その考え方の原点と言われているのが、「湯殿という極楽」であり、入口のファサードも社の様になっていました。入口のこちらと、あちらでは世界が違うそうです。あるアニメ映画にもあったように神様達もやってくる場所なのでしょう。そして、中に入りアイストップのごとく在るのが富士山の絵です。果てしなく、空が続くかの如く。この様なダイナミックな構成は、ある程度大きな空間を要しますが、その精神は個人住宅の設計に於いても見習うべきところがあると思います。

コートハウス2階平面図
一つの実例:とかく居間は南向き、キッチンは明るく等として風呂場の位置は、方位的にもあまり良い位置にならない事があります。今回は住宅全体を「コートハウス」としてまとめ、浴室の位置は2階の南側にしました。窓の位置は、中庭の「パティオ」の吹抜けに面して設置し、バスコートバルコニーも設置し、外に出られるようにしました。外部空間の構成要素として建物の中庭に面しての外壁の表情があります。表情のある板目が当初イメージにありました。準防火地域ということもあり、木を張る訳にはいきませんので木目模様のメーカー製防火サイディングとなりましたが、テーマに準じるといえます。その他の機能面としても、洗濯物が容易に干せるということもありますが、掃出し窓を開け放しでも入浴中のプライバシーが保てることです。(1階に中庭「パティオ」に面して居間とダイニングキッチンがあります。そして、屋根は無く、その上は果てしなく空です。)

各居室から離れた位置にある浴室は家族それぞれの生活時間帯が違うという場合には、音が伝わりにくく、気兼ね無く入浴ができるというメリットもあります。


一級建築士事務所 KYMプロデュース http://www.geocities.jp/kymkiguchi/
建物の内容はコートハウス、オール電化住宅


WEBサイト【建築家】に2006/12/18より掲載中。下記はその内容です。


第12回 セキュリティー
・・・コートハウスでの実践・・・
木口盛世  一級建築士事務所 KYMプロデュース
初めてクライアントの家に訪れたときに、玄関先に自転車の前カゴに安全パトロールのスッテカーがありました。一般市民の自衛の一環で今や各地で実施されているのはご存知とおりです。今回の以来物件は、東京都江戸川区の住居地域でセキュリティー面でも当初からより設計テーマのひとつとして考慮しなければならないところでした。

打合せを重ねてプランニング案をパターン別に3つほど提出しました。そしてコートハウス案で進めていくことになり、先ずは全体の住宅としてのまとめ、住宅設備等をまとめましたが、この案でのセキュリティーをどのように行うか迷うところです。コ字型のコートハウス案では外部空間の一部が有機的に内部
空間とのつながりを有し、これを普段の生活面で切断するような計画は好ましくありません。中庭に面する開口はできるだけ大きく安易に開放できるようにし、都市生活者として夜でも。(クライアントの就寝時刻は夜中のAM2時。)各開口部にシャッターを設置することは、避けなければなりませんでした。セキュリティーと住宅内部の開放は今回の設計テーマでは相反することになりました。

実際に行ったこと(中庭:パティオ廻り)図面参照
1:隣地境界線上にヒノキ材縦格子の高さ2mの塀(人が乗る強度はありません。)
2:防火スチール電動シャッター高さ2.2m(上部BOXまでは高さ3m)
  窓に設置したのではなく、塀より50cm後退させての設置。
3:開口部窓ガラスに防犯用ビニールシートがサンドイッチされた仕様。
4:中庭に照明の設置。
(準防火地域でもあり、隣地に近い開口部は防火戸仕様にしなければなりません。この空間に対しては窓に網入ガラスを使いたくなく、視線的にできるだけ透明ガラスのみで空間の分断をしました。シャッターの設置した位置は防火戸としても今回の空間の取りまとめにも有効になっています。

コートハウス1階平面図
昼間はシャッターを開け、夜または旅行などの長期外出時には閉める。昼の外出では塀と窓ガラスがセキュリティー面を果たす。一つ一つの機能の防犯性は高いとはいえませんが、3つ重ねることで高まったといえます。また、住まい方ではヒノキ材縦格子塀も加え今回のコートハウスでの中庭空間及びつながる内部空間を、十分に楽しめる計画となりました。

一つの実例をもとにセキュリティーというテーマを住宅設計でどのようにして果たしたか述べましたが、各々の住まい方、家があるように、またはロケーションによってもそれぞれ違います。一つの方を有効にし、もう一つを無効にすること無く住宅の設計を行えるように心がけていきたいと思っています。


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建物の内容はコートハウス、オール電化住宅


WEBサイト【建築家】に2005/6/7より掲載中。下記はその内容です。


第10回 和室、畳の部屋の効能
・・・生活と社会とのつながり・・・
木口盛世  一級建築士事務所 KYMプロデュース
クライアント宅での打合せ時、高校生のお嬢さんからお茶を出されました。すかさず、奥さんから、「まだ至らないところがありまして済みません。」と一言。単にお茶をだすという行為だけではなく、客をもてなす心とその動作を示されたことです。

クライアントと契約前ですが、通う生け花教室の展覧会に招待されました。展示されている花の器した小さな畳敷きでした。そこで抹茶とお菓子をいただきました。みなさん和服で来場された方々をもてなしておりました。

引渡4年後の家に行きましたら、玄関に花とメロンが置かれていました。ご主人大喜びで「今年は屋上でメロンができた。」と話されていました。私が訪れること、他の来客者にも花だけでは足りず、メロンも添えられたのでしょう。

客をもてなす心を培う場として「和室、畳の部屋」をそのシーンとしてイメージしやすい場としては、おそらく私だけでは無いでしょう。フローリング貼りの洋室ではそれができないということでは無く、あくまでも頭の中に浮かびやすいイメージというレベルの話です。

日本人は他民族から比べると「手先が器用」「集団行動性」「自然界への畏怖:主、神、祭り」が外国人向けの教科書といわれる本にまとめられるくらいに、特徴付けられています。私自身もそうですが、年中行事及び日々の暮らしに於いて、これらを感じて過ごしています。正月初詣、桜が咲けば花見、夏祭、花火、月見ですすき、それぞれ旬の食材と四季を通して我々の生活に根付いているところがあります。

別に日本人がどうだからということではありません。ちがう事で、ある有名アニメ映画で、14歳で修行の旅にでた魔女が、お客様宅の昔ながらのオーブンを使いこなすシーンがあるように、その地域ながらの特徴があります。(魔女ですから映画の舞台はヨーロッパ)

最近の家は、和室、畳の部屋が少なくなってきています。全く無い家もありますが、私自身の設計業務では畳の部屋はなかなか無くなりません。というよりは家の中心である居間でしたり、その傍に設置したりあるいは主寝室が畳敷きだったりします。無くならないというよりは大きなファクターを占めています。家の大きさ、クライアントの年代に関係ありません。全てフローリング敷 きの洋室での家もありますが、その使い方は床暖房設置している居間にコタツを設置して、そこで食事、家族のくつろぎの場、ご主人の寝室を兼ねている。洋室の寝室に布団をしいて寝ている、物入れの仕様は、洋室で有りながら押入れの仕様になっています。生活の仕方は畳の部屋そのものです。(ある一例です)

機能面の話は数量化されるのでとても分かりやすく、一般に受入やすい。合理的な生活を望む時は、和室、畳の部屋はその一つになってしまいがちです。今このテーマが取り出される事自体、人が生活する上で機能面だけではなく家に何が求められているかを策定している様に思えます。文明・産業の進化と共に何かが失われて行くのも当たり前の事ですが、良き精神面までも、それを培 いやすい場も失いたくは無いと、都市住宅に多く携っている私自身ですが、この機会によりいっそう心がけようと思います。 家づくりの場に精神面の話はむずかしく、言葉で伝えることも、むずかしいので、イメージできるそれぞれのシーンを主に記して、それが伝わる事を願っています。

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WEBサイト【建築家】に2005/3/22より掲載中。下記はその内容です。


第8回 地震に備える 構造と内装の視点から
・・・長岡市にある実家をみて・・・
木口盛世  一級建築士事務所 KYMプロデュース
「がんばれ新潟!すでに春は来ている。」
亡くなられた方々のご冥福を、お祈りいたします。

私の実家が長岡市にあります。

平成16年10月23日午後6時56分、新潟中越地震発生。

 その時、私は仕事でパソコンを操作中でした。その数分後、大きな揺れを感じて、情報を得るためテレビのスイッチを入れました。報道では日本地図で指し示すだけで、具体的な地名は言わなかったが、私にはそれがわかりました。あきらかに実家のある場所。ず〜とテレビにくぎ付けなる。電話をするが通じない。携帯電話で掛けるが通じない。ず〜とテレビを見ていました。JRの不通、道路の不通等の報道。その後11時頃、某コンビニのトラックが被災地に向けて長野県側からのルートで出発するとのこと。
 しばらくして、今私に何ができるか考える。
翌24日午前1時、郵便局の夜間窓口でゆうパックの箱を買い、近くのコンビニで必要と思われる物を買い集めて、再び郵便局の夜間窓口に行き、実家のある長岡市に向けて送る。荷物が届くかはわかりませんでしたが、届けば家の中に居なくても実家の方から電話があるはずだと考えました。
 同24日午前10時頃、実家の母(79歳)の行きつけの病院にEメールで「お世話になることがありましたら、ご連絡下さい。」と入れる。インターネットの仕組みは良くわかりませんが、とりあえず、できることはした気持ちになりました。
 10月26日(月)仕事で現場に行く。正午、母より電話が有り安否の確認(皆無事)ができました。「仏壇が飛んで行った。」これが、最初の言葉。そんな事よりも言うことが有るだろうと思いつつ安心しました。

 私の実家は、木造2階建て 築20年 瓦屋根 基礎の高さ1.5m(雪で埋まらない仕様)設計は私ではありません。(建築士の免許取得前)地元の工務店の設計施工です。今回の被害状況は室内の壁の上部に少しのキレツ、玄関の土間の3cmくらいの沈み込み、基礎はキレツ無しという状況で、被害は無いと言えるでしょう。

 阪神・淡路大震災後、耐震に関する講習会で家の実物を作り、実際に地震波を入れてみる実験のビデオを見たことがあります。家の揺れ方は、上下を固定された弦を弾いた様な見え方をしました。つまり、地面と屋根を固定して2階の床の位置が左右に動くと、いう事です。私の実家も1階の内壁の上部キレツが有ることで、同じ揺れ方をしたと推測できます。重い瓦屋根が支点になったようです。軽い屋根では、同じ揺れ方をするとは限りません。鉄骨造、鉄筋コンクリート造は、また違う揺れ方になるかもしれません。
 日本の住宅は木造が多いので、これに搾り続けます。建物の理論的な耐震構造は、歴史的にみて大阪城からと言われています。通し柱を2層ごとに互い違いに設置することで、建物全体をバネにする構造です。住宅に当てはめるには柱の太さが違いますので、少し違いますが、利点は受け継がれてきました。一般の方にも「通し柱」という言葉は広く浸透しています。現在、木造3階建て在来工法では、通し柱を1〜2階、位置を変えて2〜3階という形で設置しています。建築基準法、構造計算基準は、建物の耐力が保たれるかのチェックだけで、揺れたあとの力の吸収までの基準がありません。(ここでは個別判定の振動解析は除外)地震があれば建物は揺れる。が、どうのようにして耐えて、かわして復元するかを考えます。具体的には在来工法で通し柱の、梁のホゾ穴による断面欠損を補える太さを保ち、建物全体がバネのようなネバリの強さを保つことです。もちろん、筋違い等の耐力壁も基準通り必要です。
テーマに「地震に備える 構造と内装の視点から」とあるように、内装の視点にも少し触れておきます。実家の天井は、被害がありませんでした。地震で天井が落ちたら大変です。建築雑誌等で天井の無い住宅が、載せられていたのを見たことがあります。意味は違うと思いますが。とても有効な手段です。落ちるものがありません。準耐火構造のときは天井を必要としますので、しかも耐火被覆仕様の重い天井材料です。今のところ、ビスの本数を増やしておく手段しか思い当りません。


一級建築士事務所 KYMプロデュース http://www.geocities.jp/kymkiguchi/


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